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メールマガジン 2014年11月2号
2014/11/30 

さて、前回のメルマガでは、増加する空き家に対し国や地方自治体の施策に関する内容をお届けいたしました。
その中で「空き家対策の特別措置法案」に関して記載しておりましたが、今回、平成26年11月19日に開催された衆議院本会議にて「空き家対策の特別措置法案」が成立した模様です。
これにより今後、各地域において空き家に関する対策がますます強化され、問題の解消へと結びついていく事が期待されております。

 そして、「家余りの時代」といわれている今、空き家に関する問題は戸建てが多いイメージとなっておりますが、近年においてはマンションなどの共同住宅においても深刻さが増しております。

マンションの歴史を振り返ってみると、始まりは大正時代へと遡ります。
1912年(大正元年)、東京都千代田区でコンクリート造(以下、RC造)の本格的な共同住宅が建設。
1916年(大正5年)には、軍艦島として知られる長崎市の端島に、日本で初めて鉄筋コンクリート造(以下、SRC造)の7階建て共同住宅が建設されました。
そして1921年(大正10年)には横浜市に最初の公共アパート中村第一共同住宅館、1923年(大正12年)には最初の市営アパートが東京市に建設されました。

その様な中、同年に関東大震災が発生。木造家屋が密集した市街地が、火災などにより大きな被害を受けました。
その復興を支援するため、財団法人同潤会が不燃の集合住宅を建設。
ここから、SRC造集合住宅が本格化しました。

その後、戦時の空襲や建物疎開により多くの建物が消失し、住宅が不足しました。
特に都市部の事態は深刻となっていたものの、政府の住宅政策は遅々として進まず、衣食の面に比べて復興が立ち遅れておりました。
その戦後の住宅不足を解消するため、「公庫・公団・公営住宅」といった、住宅政策の3本柱が昭和30年までに整えられ、新しい住み方を提案する、「食寝分離」を基本とした住宅建設が進められてきました。

こうした中、1962年(昭和37年)にマンションの基本法である「建物の区分所有等に関する法律」が制定。
マンションの法的位置づけも明確になり、住宅ローンを利用した購入が可能となるという、非常に大きな変革が起こりました。そして、1964年(昭和39年)の東京オリンピックが契機となりマンション開発が進行。
高度成長期となり、国の持家政策の本格化とともに、住宅都市整備公団(現:住宅・都市開発機構)を主な供給主体とした「団地型」のマンションが多く供給されました。

その後、マンションブームは東京に隣接するエリアに供給を拡大。バブル経済崩壊後、地価が長期にわたって下落する中、企業はリストラの一環として保有する土地を放出。政府は景気対策として積極的な金融緩和政策を実施、それらが相まって、東京都心部ではマンション建設に弾みがつき、需要が急増。それに伴い、建設技術の向上からその建て方も高層化となり、次々とタワーマンションが建設され、その結果、アウトレットマンションと呼ばれる物件が急増いたしました。

近年では、首都圏・近畿圏ともに、大規模物件が重なったことによる大量着工があった事も要因し、その着工件数もバブル経済期の昭和58年では933万戸だったところ、その後も増加を続け、平成25年までの30年間で2.4倍にまで増加(国土交通省調査)。また、RC造共同住宅が初めて出現してから100年近く経過した現在、建築後相当年数を経た老朽化マンションが増加しており、ストックが大幅に積みあがっております。

その様な状況から、近年では過去のマンションブーム時の建築を活かしたリノベーションによる様々な取り組みが行われており、注目されております。

団地再生という視点で従来、注目されていたのが、ドイツの事例で、ライネフェルデ(2004年より合併。現在はライネフェルデ-ヴォルビス市)という街が取り組んだ団地の再生です。

詳しく書くと長くなりますので端折ってお話しいたしますが、この再生は、東西ドイツ統一時に起こったもので、東西統合による人口流出から団地の空き家が増加いたしました。

その対策として、住宅市場の整備、職場の創出、インフラ整備という3本の施策を様々な補助金を活用しながら具体化し、再生を図ったという事例だったのですが、今後の日本での展開を考えるとドイツの事例とは構造上、税務上、そして補助金の有無など環境が異なり様々な問題が山積みである為、それぞれの施策に対する課題を克服しなくてはなりません。

しかし、この事例をモデルとしてとらえる企業は多く、様々な研究の糧とされております。最近では、ある企業にて老朽化した共同住宅の再生事業を構築。少子高齢化といわれる今、内装のバリアフリー化した住まいを提供するといったことだけではなく、地域の高齢者に対応し、政府が推奨する「地域包括ケアシステム」推奨・運営し、
既存大規模団地を中心とした医療・福祉拠点をつくる取り組みを行っております。そして政府も、平成25年に新たなグランドデザインを構築。急速に進む人口減少や、高齢化社会など様々な状況を見据え、地域包括ケアシステムへの強化を模索しているようです。

そして、今後はこの様な地域活性と住宅市場の整備を兼ねた事例は多くなってくるように思われます。
また、この様な様々な動向をひとつひとつ整理していくと、戸建ての空き家もマンションの空室活用法も、何か糸口が見えてくるように感じます。

少子・高齢化社会の今、経済状況の変化を踏まえ、実態が明らかになることで自治体、県、国という広いコミュニティに問題や課題を解決する動きが出てきている今、ますます、将来の自分の暮らしや地域について、色々なことを思い描くきっかけにもなります。また、それにより、自分が思ってもみなかった問題や課題が見えて来る事が多々あると思います。

そして、今年もいよいよ残すところあとわずかとなりました。家族と触れ合う機会も多くなってくることと思います。
各々の居住環境や生活について家族みんなでゆっくり話し合い、お互いの考えていることを分かち合ってみてはいかがでしょうか?

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「底地の整理」

家族あるいはご自身が所有する土地が旧法の借地権の設定された土地(底地)を
お持ちの場合、「このままぼちぼちと賃料収入もあるし、現状に満足している」
という方はほぼいらっしゃらないのではないでしょうか?

相続時に評価される資産価値としては高く、かといって、賃料は長期にわたって
大して変わらず、また、土地も戻ってこないという悔しい思いがつのるばかり・・・

それでも底地をお持ちの場合は、相続があっても、このまま次世代に引き継ぐのか、
相続税の納税に充てる資産とするのか、時間のあるうちに、考えておく必要があります。

相続が発生した場合、10か月以内に相続税の申告、納税をしなくてはなりません。
心理的なショックや、葬儀などあるなかで、10か月で、遺産分割協議や納税資金を
準備して納付まで行います。

被相続人が亡くなられてから、「底地を売却して、納税資金に充てよう」としても、
売り急ぎは、価格交渉で不利となり、また手続等の面でも煩雑となり、
気力・体力・財産を摩耗します。

相続発生時に数ある不動産の、「いい不動産から物納する」なんてことにならないか、
チェックしておきましょう。

~相続税の物納~
物納とは、相続が発生し相続税を納める必要がある場合に、金銭に代えて相続財産で納税することです。
以下の全ての要件を満たしている場合に、物納の許可を受けることができます。

<物納の要件>
1.延納によっても金銭で納付することが困難とする事由がある
2.「物納」しようとする財産が相続で取得したもので、物納順位によるものであること
3.物納に充てる財産が、管理処分不適格財産に該当しないものであること等
4.相続税の納期限又は物納申請期限までに、物納申請をすること

3.の要件は言い換えると「物納的確財産」であることが求められているわけですが、この要件が、不動産、とりわけ底地については他の不動産に比べても物納を難しくしています。

不適格要件に現状該当しているかどうかを確認し、該当している場合には、要件に該当しないよう整備することで、物納的確財産にできないか調査しておきましょう。


「管理処分不適格財産」とは
1.担保権が設定されている
2.所有権の存否、権利の帰属に争いがある
3.境界が明らかでない
4.争訟によらなければ通常の使用ができない
-1隣接地からまたは隣接地へ建物等が越境している
-2借主との契約の内容が貸主に著しく不利
-3賃料が近隣相場と比較して著しく低い
-4賃料の滞納がある
-5賃料が供託されている
5.公道に接道せず通行権が明確でない
6.借地権の目的となっている土地で、借地人が不明
7.他の不動産と一体として利用されている
8.共有物である不動産(共有者全員が物納申請する場合を除く)
9.がけ地、極端な狭小地・不整形地
10.耐用年数を経過している建物
11.敷金返還義務等がある
12.土壌汚染がある
13.風俗営業等の目的に使用されている
14.滅失建物の登記がされていないなど、引渡に必要な行為がされていない

物納の申請書の提出期限は、相続税の申告期限で、申請期間は最長1年延長可能ですが、
その間は利子税が発生いたします。

底地については、「4.争訟によらなければ通常の使用ができない」を整備に時間がかかり、
断念される場合が多くあります。
賃料が近隣相場とし比較して低廉である場合(目安:近隣相場の70%以下)や、
転貸借の事前承認、原状回復義務の規定のない契約は貸主にとって著しく不利なものに
該当します。
この貸主にとって不利=借主にとって有利な契約を、フラットな状態に持っていくことは、
おいそれと話が進むものではないためです。
物納のための整備ではなくても、地代の改定は、粘り強く行っておきましょう。

なお、定期借地権が設定された土地を物納する場合では、
11.敷金返還義務等がある にまずかかってきますので、
-1 保証金を収受していた場合には、借地人に保証金を返還し、抵当権を抹消してもらい
-2 保証金の運用益と合せて考えるため一般に低く設定されていた賃料を、
保証金返還後に変更する
といった整備が必要となります。


<相続税の物納状況>
平成18年の税制改正により、相続税法の一部が改正され、物納関係についても平成18年4月1日から
施行されました。

1.物納不適格財産の明確化等
 → 物納不適格財産や物納劣後財産が明確化されました

2.物納手続の整備等
 → 必要書類の規定等の整備がされました

3.物納申請の許可に係る審査機関の法定等
 → 許可・却下を申請期限から原則3月以内に行うなど、手続の期限を定めました

4.物納申請を却下された者の延納の申請
 → 延納による金銭での納付が困難でないこと等物納申請の全部又は一部が却下された場合には、
申請者は、当該却下の日から20日以内に、延納の申請を行うことができるようになりました

5.物納申請を却下された者の再申請
 → 物納申請された財産が物納不適格財産又は物納劣後財産に該当することにより物納申請の却下がされた場合において、申請者は、当該却下の日から20日以内に、一度に限り物納の再申請をすることができるようになりました

6.延納中の物納の選択
 → 相続税を延納中の者が、資力の状況の変化等により延納による納付が困難となった場合には、
相続税の申告期限から10年以内に限り、延納税額からその納期限の到来している分納税額を控除した残額のうち、一定の金額を限度として、物納を選択することができるようになりました

7.利子税の整備等
 → 利子税の計算規定の整備その他所要の措置を講じました

物納適格財産が明確になったこと、物納の申請期限の延長中にも利子税が発生したり、
税務署の判断がスピードアップしたという、これらの改正も大きく影響し、物納の申請件数は、
平成25年度では167件と年々減少しています。
(平成18年度 1,036件 、平成19年度 383件、平成21年度 727件、平成23年度 364件)


物納の特徴は、譲渡所得税がかからず、相続税評価額で納付できることですので、
相続税評価額が売却想定価格を上回る場合には、この特徴を所有不動産で生かせるかどうか、
生かすにはどういった整備を行うのか、シミュレーションをしておきましょう。


資産の組み替えや不動産有効活用、旧法借地権についても、お困りごとがございましたら、お気軽に
株式会社サテライト・フィナンシャル・アドバイザリー・サービスまでご相談ください。

無料相談開始のお知らせ
2014/11/14 

2015年3月まで 2時間の無料面談相談を受付けております。

お問い合わせフォームより、お申込みください。 
ご面談日時について、折り返しご連絡させて頂きます。

<東京本社へご来社の方>  無料
<訪問ご希望の方>     コンサルタント1名がご訪問いたします。(交通費等は実費精算)
<ご面談時間>       2時間

事業再生・資金繰り・金融機関対応等の経営相談は、ご面談時に決算書・資金繰り表・借入状況・業者支払状況等を拝見させて頂き、対応策を真摯にアドバイスいたします。
その他ご準備いただく資料につきましては、面談日時を決める際にお伝えさせて頂きます。

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メールマガジン 2014年11月号
2014/11/06 

さて、前回は、空き家を放置する事から発生する問題点を中心としたお話と、それらに対し、近年の自治体の取り組みの中、補助事業が相次いで施行している、といった内容をお届けいたしました。
 近年、クローズアップされております空き家率ですが、その内訳はどのようになっているのでしょうか。今回発表された「平成25年度 住宅・土地統計調査」より、空き家といわれるものの内訳を確認すると、賃貸用の住宅が全体の52.4%を占める429万戸、続いて、売却用の住宅が全体の3.8%となる31万戸となっており、「実質的に即日入居が可能な住宅」として、過半数を占めております。しかし、問題視されている空き家率の増加を促しているのは、「その他」という区分です。全体の38.8%となる318万戸を占めております。
 「その他」の区分には、転勤や入院などにより居住世帯が長期にわたって不在の住宅や、建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅のほか、空き家の区分の判断が困難な住宅などが含まれております。いわゆる、「第3者が即日居住できそうにない状態の空き家」という分類です。そして、空き家を構成別にみると、「実質的に即日入居が可能な住宅等」の増加は鈍く、「第3者が居住できそうにない状態の空き家」などが含まれる、「その他」区分は、年々増加傾向となっております。
その様な「その他」区分の空き家などに対し、自治体が施策している空き家対策の方向性としては、大きく分けて2通りとなっており、1つ目は、空き家の撤去を促進していくという方向、2つ目は、活用可能な空き家に関してその利用を促進していく、という内容です。そして、一つ目の「問題となる空き家の撤去促進」について自治体としてできる事は、所有者に連絡をして是正をお願いする位で、強制撤去などの対策をする事はできず、唯一、効力を発揮できるとすれば、建築基準法と景観法でした。
 建築基準法では、建築された時点では適法で、その後の法令変更により違法となる「既存不適格」などの建物については、その建物が著しく危険である、または、衛生上有害である等の場合、所有者に対し建築物の除去などの措置を命ずることができ、これに履行しない場合、強制的に撤去できるとされております(建築基準法第10条)。しかし、これを適用する為にはハードルが高く、除去する場合もこれらを厳密に調査し、その内容によっては、必要最小限の範囲までとしており、全撤去まで至らないのがほとんどです。
また、景観法においては、景観地区内の建築物の意匠が景観に著しく支障がる場合、その自治体における意匠制限に適合するための措置を命ずることが出来ますが(景観法第70条 形態意匠の制限に適合しない建築物に対する措置 等)、改築や模様替え等の措置を命ずる事は出来ても、撤去までは命ずる事が出来ないケースがほとんどとなっており、既存の法律では空き家の撤去を命じにくい状態となっておりました。
 空き家問題が深刻化するにあたり、地方自治体レベルで新たに空き家対策のための条例を独自に定めるケースが増加。特に、景観関係や環境関係の条例を定め、景観法の内容よりも重い規制を設け、景観を阻害している場合は、所有者に指導、勧告、命令ができるとしこれに従わない場合は強制的に撤去できるとしている自治体も出てきていました。(例・鳥取県景観形成条例・2007年3月施行)

そして、その様な自治体の動きに対し、政府の「空き家特別措置法案」制定の動きが活発化。特に、2014年度は、総務省より5年に1度発表される「住宅・土地統計調査」の発表の年であった事もあり、政府も本腰を入れ、今回、秋の臨時国会で「空き家特別措置法案」提出。早期成立を目指している様です。
それにより、今まで踏み込むことが難しかった自治体による立ち入り調査や、家主の把握を目的とした固定資産税の納税者情報の内部利用等が可能になるとされており、老朽化で倒壊する恐れのある建物や、景観や衛生を損なうなど、問題のある空き家を「特定空き家」とし、それらに関し、市町村が家主に対し指導・助言、勧告・命令をできる事としており、命令に従わない家主に対しては、行政代執行や過料も可能にするとされております。また、市町村が行う空き家対策の円滑な実施のために、国や地方公共団体による空き家などに関する施策実施費用の補助などを行うなどの対策も施されており、本年度は、空き家対策の重要な節目となっている模様です。そして、施行に伴い、空き家に適用されていた固定資産税の軽減措置を見直す方向でもあるとされております。

そして、「家余りの時代」といわれている今、空き家に関する問題は戸建てが多いイメージとなっておりますが、近年、マンションなどの共同住宅においても深刻さが増しております。総務省統計局調査による共同住宅の推移をみると、平成25年度の共同住宅戸数は、前回調査時の平成20年から141万戸、6.8%の増加となっており、住宅数、割合共に過去最高となっております。
日本の共同住宅には、同潤会アパートから始まってすでに80年を超える歴史があり、1964年の東京オリンピックが景気刺激となってマンション開発が進み、新しい住み方を提案するマンションが多く供給されました。建設技術の向上と共に、その建て方も高層化となり、第5次マンションブームとなるバブル経済期の昭和58年では933万戸だったところ、その後も増加を続け、平成25年までの30年間で2.4倍にまで増加しております。
そして国土交通省調査による、平成25年末現在の全国分譲マンションストック戸数は601万戸。そのうち、築年数が30年を越す昭和58年までに建てられたマンションは、128万7000戸です。現在、それら老朽化マンションでは管理組合が機能していなかったり、空室化がすすんでスラム化していたり、建築物の耐震改修が進まなかったり、既存不適格物件のため建て替えが困難であったりと、様々な問題の中、老朽化物件が放置されたままになるケースも出てきているようです。
少子・高齢化社会の今、経済状況の変化を踏まえ、実態が明らかになることで自治体、県、国という広いコミュニティに問題や課題を解決する動きが出てきている今、ますます、将来の自分の暮らしや地域について、色々なことを思い描きやすくなってきております。これから年末に向け、家族で話せる機会があるかと思います。是非、コミュニケーションの一環として、各々の居住環境や生活、相続についてなど、今後の方向について、家族で話してみてはいかがでしょうか?話すことで、自分自身が思ってもみなかった不安や問題、課題が見えてくるきっかけにもなると思います。

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「定期借地権」のご紹介

~現在の借地借家法となるまで~
土地も建物も一言で「不動産」と言えますが、土地の賃借と建物の賃借は別々の法律行為となっています。

もともとそこにある建物を借りるのは、建物の賃貸借契約となりますが、
建物を建てたい人に土地を貸すと、自分の不動産の上に借地人の不動産が乗り、
土地を使用収益できるのは借地人となります。
土地所有者は土地表面を貸しており、自信で使うことはできませんから、
自らの権利は土地の底に潜り込むような形となるイメージです。
このため、こういった状態にある土地のことを「底地」
その所有権をあえて「底地権」と呼ぶこともあります。

・イメージ・
地面____|___建物___|__________
    上 借地人 (借地権)
    下 所有者 (所有権「底地権」と呼ばれることも。)

下になった不動産は所有権が有する「自由に使用・収益・処分する」の権利のうち、
直接の「使用収益」、ができない状態にあるため、完全な所有権を行使するためには、
上に乗っている不動産を排除するか、下の不動産の所有者が上の不動産を所有するようにしなければなりません。

この土地所有者が完全な所有権に戻したい場合を考えたとき、
法律がどのように土地の賃借を規定していたのか、
借地人と土地所有者のどちらを保護しようと考えていたか変遷をたどっていきます。
はじまり
1894年に公布された民法の規定では、土地賃借の規定に、地上権と賃借権があります。
地上権は、土地所有者の承諾なしに、その権利を譲渡・転貸・担保設定が自由にできる物権契約で、
賃借権は、その権利を譲渡・転貸にあたり、所有者の承諾を必要とする債権契約です。

当時は戦争に勝利し、景気が良かったことなどから大都市圏に人口が集中し、
住宅需要が盛んになりました。
そのため、土地所有者の立場が強く、地上権という強い権利で借地人に借りてもらう必要がありませんでした。

変遷ステージ1
その結果、民法の特別法として、1909年に建物保護に関する法律、
1921年に借地法、借家法が制定されました。
1921年時は、建物の所有を目的とした借地は、土地所有者が契約を更新しない限り、
契約により最短期間20年で土地所有者に返還される仕組みとなりました。

変遷ステージ2
1930年代に再び戦争となり、戦争遂行のためにいろいろな法律が改正され、
借地法、借家法も例外ではなく1941年に改正されました。

この改正は、借地期間満了により、借地上の工場が閉鎖されたり、
兵士の留守家族が家を失うことになっては、軍事に支障をきたす恐れがあったため、
期間満了時に、地主に正当な事由が成立しない限り、借地期間は同一更新されることとなったそうです。
これを「法定更新」といいます。

敗戦後にもいろいろな法律が改正されていきましたが、借地法、借家法は、
敗戦による住宅難が続いていたため、借地人を保護せざるを得ず、
改正されない状態がつづきました。

その結果、原則として「返さなくてよい」という強い権利が価格を形成することとなり、
借地権価格は、土地の価格の6割から場所によっては9割にもなり、
新たに土地を貸そうという土地所有者がいなくなってしまいました。

変遷ステージ3
上記のとおり、法の保護のもとによる力関係が
はじめは 所有者>借地人
ステージ1では 所有者=借地人
ステージ2では 所有者<借地人
と変遷し、変遷ステージ2の状態では、土地供給の滞りが発生していたことにより、
土地の賃借関係の正常化が求められ、
平成4年8月に「建物保護ニ関スル法律」、「借地法」、「借家法」の三法を統合し改善した、借地借家法(以下新法といいます。)が施行され、
「建物保護ニ関スル法律」、「借地法」、「借家法」の三法は廃止となり、
新法により定期借地制度が創設されました。

(なお新法の施行は平成4年8月1日のため、それ以前に設定した借地の権利関係は旧法に従います。)

新法は普通借地権、3種類の定期借地権、被災地短期借地権を規定しています。

現在の借地権は大きく3つに分類されます。
1、旧借地法による借地権
2、新法による普通借地権
3、新法による定期借地権

(借地権とは、建物の所有を目的とする地上権および賃借権をいいますので、
借地権が地上権の場合と、借地権が賃借権の場合では、実務上異なった角度での検討が必要となります。)

3分類のそれぞれの内容を見てみましょう。
<旧借地法による借地権>
*当初契約による借地権の存続期間
堅固建物:30年以上 (当事者による期間の定めがないとき:60年)
非堅固建物:20年以上 (当事者による期間の定めがないとき:30年)

*更新後の借地権の存続期間
堅固建物:30年 
非堅固建物:20年

*存続期間満了前の建物再築による期間延長
地主が遅滞なく異議を述べないときは
堅固建物:30年 
非堅固建物:20年
<新法による借地権>
*当初契約による借地権の存続期間
30年以上

*更新後の借地権の存続期間
最初の更新:20年
2回目以降の更新:10年

*存続期間満了前の建物再築による期間延長
借地権設定者の承諾がある場合に限って20年


<★定期借地権の類型★>
定期借地権は、「一般」と付けて呼ばれる定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権のほか、被災地短期借地権があります。
これらは概ね、ある目的による、存続期間の場合、特約を付けることができ、それは指定の契約方法でしなければならない、といった形で規定されています。

<一般定期借地権>
*借地権の設定目的:制限なし
*借地権の存続期間:50年以上の場合
*特約する権利の内容:契約を更新しない、建物の再築による存続期間を延長しない、
建物の買取請求をしない
*契約方式:公正証書等の書面による
*期間満了時:借地人は更地にして土地を返還

<事業用定期借地権>
*借地権の設定目的:事業用建物敷地かつ非居住用
*条件:借地権の存続期間が10年以上50年未満の場合
*権利の内容: 
・その1、借地権の存続期間が10年以上30年未満の場合は、
借地借家法の法定更新、建物再築に伴う存続期間の延長、建物買取請求権
の3つの規程を適用しない。
・その2、借地権の存続期間が30年以上50年未満の場合は、
一般定期借地権と同じ3つの特約
(1契約を更新しない、2建物の再築による存続期間を延長しない、3建物の買取請求をしない)
*契約方式:契約は公正証書にする。
*期間満了時:借地人は更地にして土地を返還

<建物譲渡特約付借地権>
*借地権の存続期間:30年以上の場合
*権利の内容:借地権設定後、30年以上経過した日に、建物を地主が買い受けることにより借地権を消滅させる
*契約方式:法律上制限はありませんが、書面で行うことが望ましい。
*期間満了時:地主が建物を買取って終了している為、建物は土地上に残ります。

参考文献 
株式会社サテライト・コンサルティング・パートナーズ 編
定期借地権と定期所有権 ダイヤモンド社

定期借地権付き住宅の供給は、平成5年は持家の供給で261件に始まり、平成20年の持家1,432件、賃貸5,774件の合計7,206件をピークに、徐々に減少し、平成24年には持家126件、賃貸84件の合計210件と導入当初よりも減少しています。

これは、独立行政法人都市再生機構の民間供給支援型賃貸住宅制度による影響が全体にも大きく影響しています。
(平成21年度 定期借地権付住宅の供給実態調査 報告書 より 国土交通省 土地・水資源局 土地市場課)

減少しているとはいえ、先祖代々の土地でどうしても返して欲しい土地を活用する場合や、一部相続対策となる場合もありますので
不動産有効活用、旧法借地権についても、お困りごとがございましたら、お気軽に株式会社サテライト・フィナンシャル・アドバイザリー・サービスまでご相談ください。

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